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第8回

本棚の言い訳(近藤)

こんにちは。
大人向けの本の編集部におります近藤と申します。
ポプラ社は、かれこれ15年近くになります。
その間、海外事業部(ポプラ社の本を海外の版元に売り込む部署)に
いたこともありますが、だいたい編集部にいます。

さて、この連載、面白いですよね。
ただ、いつか順番が回ってくる身としては、
「なんだよ、この本棚かっこよすぎるよ、文章も面白いし……」と
心のなかで悪態をついていましたら
あっさりと自分の番になってしまいました。

ここは、覚悟を決めて、本棚の写真を。

え、これだけ?
はい、教養のなさがあふれてますね……。

ちょっと言い訳をさせていただくと、
父が「読んだ本は送ってくれ!」というので、
実家に送った本もけっこうあります。

じゃあ、実家の本棚の写真を載せればいいんじゃない?
と思われたでしょうか。
そうなんですが、そう簡単でもなくて、
いや簡単な話なのですが、父が人にものをあげるのが好きで、
どうやら本を、いろんな人に押し付けているらしいのです。

先日も、送った本のなかで読みたくなったものがあり
「〇〇を読みたいから、持ってきてくれる?」とLINEしたら、
「あの本、あげちゃったんだよ。お母さんには、内緒にしといてくれよな」
とこそこそと電話がかかってきました。
*注:母にばれると、「すぐに人にあげるんだから!
もらった人も迷惑よ!」と怒られるから、小声です。

もうひとつ、実家にも本が少ない言い訳があります。
両親が本屋をやっていたことがありまして
小さい頃は、店番する母にくっついていき、
事務所で、世界文学全集を読んでおりました。

というのはウソで、
リボン、なかよし、別冊マーガレットなどなど
漫画を読んでおりました。母は仕事なので、
子どもは野放し、読みたい放題。楽しかったなあ。

というわけで、子どもの頃は、
本は買うものではなく、本屋で読むもの、でした。
え、お前が読んだ本を、お客さんが買っていたかもしれないの?
と思われたみなさま、本当に申し訳ございません。
今は、ちゃんと買っております。

だらだら書いてしまいましたが、
言い訳だけで終わるわけにもいかないので
本棚に戻りたいと思います。

1段目は、文庫です。
武田百合子さんの『富士日記』『犬が星見た』、
指揮者の小澤征爾さんの『ボクの音楽武者修行』、
ロシア語通訳だった米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』などは
なんとなく手元に残しています。
こうしてみると、エッセイが好きなんですね。

ちなみに、端のほうに写っている
吉本隆明さんの『共同幻想論』は
学生時代から好きで、
と書けたらかっこいいのですが
途中で挫折して、そのままです……。
その隣の『細雪』も、いつか読もうと思って買ったのに、
いまだに読んでいません……。

二段目と三段目は、単行本。

最近読んでよかったのは、いま話題の
ブレイディみかこさんのノンフィクション
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。
かっこいい母ちゃんと素直でやさしい息子さんの
エピソードが最高でした!
*注:本は貸しているので、本棚にはありません。
自分が読んで面白かった本を、まわりの人に
貸せるのは、電子書籍にはない、紙の本のいいところですよね。

一番下の棚は、やろうと思っては、
すぐにやめて……をかれこれ10年以上繰り返し、
最近は開くこともなく
ホコリをかぶっている語学書などです。

偏愛していた本とかないかなあと考えたのですが、
ぼんやり生きてきたので、なかなか思いつかず。
あえて言うと、今でも印象に残っているのは
おちゃめなふたご」シリーズです。

これは、小学3~4年生のころ、
幼馴染の女の子が韓国でホームステイを
するというので、「私もいく!」と勇んだものの
あっさりホームシックになり、
しくしく泣いていたときに、読んでいた本です。

本を開くと、知っている世界が広がっていて、
心が落ち着いたことを今でも覚えています。
ふたごたちが繰り広げる、真夜中のパーティーとか、
楽しそうだったなあ。
(偶然にも、ポプラ社の本です。)

もう1冊は、20代後半のとき、
仕事でうまくいかなくて、落ち込んでいたときに
読んでいたのが荻原規子さんの
ファンタジー小説の傑作「RDGレッドデータガール」シリーズです。
この時も、この本を読んでいるときは、心が安らぎました。

本は、世界を広げるもの、とか言いますが、
わたしにとっては、まずは、なにかあったときに
逃げ込める場所なんですね、きっと。

ここまで書いてきて、この連載が「本棚の二列目」
ということに、はたと気が付きました。
でも、ご覧のように、本が少なくて、
二列目がないので、一列目と本棚に並んでいない本で
勝手に終わらせていただきます。
読んでくださって、ありがとうございました。

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